2025.06.02
「»KPI設計と改善すべきセクションを見極める」にて選んだ指標に対し、具体的な目標値を設定しましょう。
例では「コーポレートサイトの閲覧数」「お問い合わせ率を上げる」「セミナー申込み率を上げる」が指標でした。それらの件数といつまでに達成するかを決定します。
例えば「検索エンジンからの流入を今年の4月までに3万件/月にする」という具体的な数値にします。
目標値の基本的な考え方
選んだ指標数 「n」件の場合
「n-1」の指標を「 1 / n-1 」改善した場合に目標が達成できる値を設定
書き換えると
例1 )指標が3つの場合は「それぞれの指標を50%ずつ改善する」
例2)指標が4つの場合は「それぞれの指標を33%ずつ改善する」
という意味です。
これまでの例のように、「指標が3つでその1つがWebサイトの訪問者数」であるケースを考えてみましょう。

目標が600万で、現在の値が500万だとします。 その差分が100万であり、その50%にあたる +50万を1つの指標で達成することを目標とします。

現在、Webサイトの訪問者は4100人で、82人に1人が平均 100,000円の商品を購入しているとすると、50万円売上を上げるためには、500,000÷100,000=5人の追加購入が必要です。5件の追加購入を得るためには、5×82=410人の追加流入が必要となります。
サイトの訪問者(KPI①)は、訪問者数を4100人→4510人にすることで達成できます。
KPI② KPI①の結果お問い合わせする人は0.49%に当てはめると人数は22人に増えますが、KPI②も増やす必要があります。お問い合わせからの人数も5人増やすことが目標なので、商談数から説明へ進む人が62.5%ですから5人÷62.5%=8人、お問い合わせから商談へ進む人の人数を8人増やすためには8人÷75%=11人のお問い合わせ数を増やす必要があります。
KPI②は(22人+11人)÷4510人=0.73%にする必要があります。
KPI③ KPI①の場合、セミナー申込みをする人は0.12%に当てはめると人数は5人に増えますが、KPI③もを増やす必要があります。セミナー申込みの人数も5人増やすため、商談数から説明へ進む人が62.5%ですから5人÷62.5%=8人、セミナー申込みから商談へ進む人の人数を8人増やすためには8人÷60%=13人のセミナー数を増やす必要があります。
KPI③は(5人+13人)÷4510人=0.40%にする必要があります。
下記がKPI①:4510人、KPI②:0.73%、KPI③:0.40%にした場合の全体像です。

なぜ目標値を100%以上にするのか
ここまでで疑問に感じた方もいらっしゃると思います。目標値は600万円(プラス100万円)なのに、なぜ目標値以上でフローを計算し直すのでしょうか。
上記の例で目標に対して150%の達成とした理由は、施策を実施しても現実的には思った通りに改善しないことが多いからです。3つのKPIポイントを想定していても、改善施作が実施できないところが出てきたり、ひとつの改善が他のKPIを下げてしまったというケースが考えられるからです。こういったリスクを回避するために、差の100%ではなく150%UPを想定しておけば、なんらかの理由で改善できないところがあってもカバーできるからです。
150% にしておくことで、1つの箇所が20%分の達成でも残りは40%分ずつで達成できます。また、1つの箇所が全く改善できなかったとしても、2つの指標を予定通り改善すれば目標が達成できます。思った通りに改善ができなかった場合のリスクを想定して100%以上の改善ができるような施策をたくさん出して達成を目指すほうがより確実に目標にたどり着けます。
数値目標が決まったら、上記のように目標数値をビジネスロードマップ内に書き入れておきましょう。
より実態に合ったロードマップへの変更
今回のケースではどの指標も均等の割合で改善する方法を紹介しましたが、現実的にはそれぞれの指標ごとに改善割合を変えることになると思います。例では訪問者が増えたときに、コンバージョン率と単価が変わらないことを前提としましたが、より厳密に行うのであれば、増えたときのコンバージョン率と単価がどのように変わるのかというデータを元に訪問者数を計算することが大切ですです。
その場合でもすべての指標は目標に到達する数値ではなく、目標を越える数値になるようにKPIとして設定しておきましょう。
ロードマップ完成後に運営方針をまとめる
ビジネスロードマップが完成したら最後に方針をまとめます。企業や事業内容、運営方法によって人的資源、経済的資源はそれぞれなので運営方針はさまざまです。
小さな会社では社長を中心に企業全体で、大きな会社では担当部署長が中心となって、次のような内容を目標設定をする人やその改善担当者と議論して決定しましょう。
【状態目標を設定】
現状と目標を設定した月で、Webサイトやビジネスがどのように変わっていなければいけないかを言語化し明文化ます。新しくどのような価値をユーザーに提供しているのか、社内での業務フローがどのように変わるのかなどが挙げられます。そのためには社内、サービス部門全体の事業内容を把握する必要も出てきます。
【課題の洗い出し】
目標達成に向けて現段階で分かっている課題を書き出します。 サイトの内容だけではなく、サービスや業務に関する課題、社内における課題なども書き出します。
【成立条件を定義する】
目標を達成するためにはどのような状態になっているか、実現している必要があるかを書き出します。
新しいメール配信システムの導入やWebサイトでの案内、人的資源として中途採用の実現などが挙げられます。 先に挙げた課題に対する基本的な解決策も記載しておきます。
いかがでしょうか?
多少計算が複雑なところがありますが、エクセルなどで数値を入れていくだけで結果が出るように計算式を組んでおくと、次回から短時間で新しいロードマップを完成させられます。
これらを取り入れて、ぜひWebサイトを改善してください!
と、締めくくりたいのですが、自身の経験上これらの情報以上に重要なことがあります。
「完璧なKPI設定と計画書を作成したのに全然進まない?」にてご紹介します。
担当者ご紹介

株式会社
ウェイズ
吉田 知弘
Lステップを活用して企業の課題解決、集客、業務改善、SNSマーケティングのコンサルティングを行う株式会社ウェイズは、平成16年に京都で創業しました。
地域社会との信頼関係を築き、京都の伝統を尊重しながらも、新しい手法を積極的に取り入れる姿勢を大切にしています。
広告手法の変化に柔軟に対応し、企画、印刷、各種広告提案を含む多様なサービスを提供。
クライアント様の売上や利益向上に貢献し、企業成長のパートナーとして持続的な成功をサポートします。
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